2012年1月16日月曜日

(速報)クヴィエーチェン、バイエルンのロドリーゴをキャンセル

約1ヶ月、放置してしまいました。あけましておめでとうございます。本年はもう少しきちんと記録を残したいところです。

とかいいながら、今も出先なので手短になります。すみません。

せっかくクヴィエーチェンのファーストアルバムが出た(詳細はこちらの記事をどうぞ)というのに、出張中のため、予約して買ったCDが自宅に届いているかさえ怪しいまま、異国の地であくせく働いております。

そういえばそろそろバイエルンの「ドン・カルロ」の初日ではないの、と思ってHP開いて超びっくり、ロドリーゴのキャストが書き換わってる!

バイエルンの公式発表(ドイツ語)はこちら

英語では

Mariusz Kwiecien will be unable to sing in the performances of Verdi's Don Carlo on January 15, 2012. Taking his place in the role of Rodrigo will be Boaz DanielSteven Humes will be singing the role of the Monk instead of Diogenes Randes.

と書かれています。

検索してるけどいまのところ詳細不明。

現在、バイエルンのドン・カルロ、すべての公演のロドリーゴがBoaz Daniel に書き換わっていますので、22日のオンデマンドにおけるマリウシュの出演は、現状ではなさそうです。
ロールデビュー、注目度の高いキャスト、オンデマンド配信、ともろもろ期待していたのですが、とにかく今は大事に至らないことだけを祈ります。

2011年12月18日日曜日

ヨナス・カウフマン、ルネ・パーペ、マリウシュ・クヴィエーチェン出演の「ドン・カルロ」(2012年1月バイエルン)がLive streaming されます!

2012年1月のバイエルンの「ドン・カルロ」がすごそうだな、と思っていたのですが、

Philipp II, König von Spanien René Pape
Don Carlos, Infant von Spanien Jonas Kaufmann
Rodrigo, Marquis de Posa Mariusz Kwiecien
Der Großinquistor Eric Halfvarson
Ein Mönch Diogenes Randes
Elisabeth von Valois Anja Harteros
Die Prinzessin Eboli Anna Smirnova
Tebaldo, Page Elisabeths Laura Tatulescu
Der Graf von Lerma Francesco Petrozzi
Ein königlicher Herold Kenneth Roberson
Stimme vom Himmel Evgeniya Sotnikova
Flandrische Deputierte Tim Kuypers

(公式から持ってきたら、役の表記がドイツ語でちょっとおもしろい)
ドイツだからWEBラジオで聞けるんじゃないかな、と思っていたら、なんとWEB上で Live streaming するようです!

bayerische.staatsoperのニュースページ

パーペのフィリッポにカウフマンのドン・カルロ・・・これは実現しなかったMET来日公演の「ドン・カルロ」と一緒だ(あと、演目違うけど今やってるMETのFAUSTもこの組み合わせ。人気あるなぁ)

公式でもファーストクラスキャスト(!)とかいってる。

The production has a first-class cast, with René Pape as King Philip II, Jonas Kaufmann as the Infante of Spain and Anja Harteros in the role of Elisabeth de Valois. The conductor is Asher Fisch.

(せっかくなのでここにポーザ侯も入れてくれてもいいのにな。まあ、あんまドイツの歌劇場には出てないからな。出ても金髪のドン・ジョヴァンニとかだったし仕方ないか)

再演ですが、プロダクションそのものの評価は悪くなかったようだし(ちゃんとリハーサルさえすればすばらしいものになったのに、とIntermezzoに書かれてますけど、ちゃんとやってもどうしようもないといわれるよりはよほど期待できると思います。つーか前回はトーマス・ハンプソンだったのか、そーかそれはちょっと大変だなぁ。
intermezzoによる2010/07のdon-carlo-munich評はこちら

個人的にはロドリーゴに注目しています。
パーペ、カウフマンはけっこう、「ドン・カルロ」にはいろいろなところで出てますけど、クヴィエーチェンにとって、ポーザ侯ロドリーゴは新しいレパートリーなので(もしかしたらロールデビューかもしれない。すごく昔にCDでロドリーゴの死の場面を歌ったことはあったけど)

彼がこの役をどんな解釈で演じるのかが楽しみなのがひとつ。
もうひとつの楽しみは、カルロよりロドリーゴが若く見えると、オペラ全体にどう影響するか。
私がこれまで見た「ドン・カルロ」では、歌手本人の年齢も劇的な役割も、カルロに対するロドリーゴは兄貴分なものばかりだったので(2011MET日本公演でヨンフン・リーと組んだときのホロストフスキーにいたっては、もはやお兄さん通り越してお父さんだったもんなあ。存在感とか安定感とか)
ちなみに実際の年齢も、クヴィエーチェンのほうがカウフマンよりちょっとだけ若く(といっても3歳差なので大して変わらん)、たぶん背もちょっとだけ小柄なんじゃないか(背丈でドイツ人にかなう気がしません)と思うので、どんな風になるか楽しみです(こういう細かいこと気にしてるのってたぶんオペラ歴が浅く演劇的な表現に気が行くからなんでしょうね)

超見たい!(けど私この時期、わたしインド出張の帰りの日かも知れない・・・飛行機に乗ってたら見れないな。なんとかならんか)

ロドリーゴって一般には男の中の男、ということになっているし、音楽的にはそれで納得なのですが、演じる側としてはやりにくいだろうな、といつも思いながら見ています。(シェイクスピアの「ハムレット」におけるホレーシオが劇的な要請で作られたキャラクターなのと近くて)ほかのキャラクターと比べると人間的な書き込みはちょっと少なくて、役割重視で書かれていると個人的には感じます。ひたすら熱く演じるだけだと革命バカみたいになって残念だし、人間的に演じようとするには、役作りのヒントになるような彼の個人の生活みたいなものがほとんど書き込まれていないし。書かれていることだけだと、カルロのことが大好きなように見えるけど、そういうふうにやってる人は意外と見たことないし・・・。
これらを踏まえて、年齢的な要素や、相手とのケミストリーも含め、クヴィエーチェンによる説得力のあるロドリーゴ像が提示されたらおもしろいな、とは思うのですが。
(しかし友情の二重唱にしろ、容赦なくエボリを切り捨てようとする場面にしろ、楽しみだなあ。フィリッポとの対決はすごくいいだろうからすごく見たい。)
この機会にドンカルロ、もう少しいろいろ見ておきたい気分になってきました。

とりあえず続報と批評に注目しておきたいと思います。
詳細は追って発表されるそうなのでお見逃しなく!

2011年12月10日土曜日

【追記あり】Mariusz Kwiecien の初めてのソロアルバムが出ます!

【追記】amazon.co.jpでの予約注文が開始しました。  ←ここから飛びます(2011.12.22追記)

ポーランド出身のバリトン、Mariusz Kwiecien (マリウシュ・クヴィエチェン、マリウス・キーチェン)の初めてのソロアルバムが出ます!


しかも内容がすごい!
Slavic Heroes というタイトルもすごいが、収録曲もすごい。

TCHAIKOVSKY Eugene Onegin, Iolanta, Mazeppa
RACHMANINOV Aleko
SMETANA Certova stena
MONIUSZKO Halka,
Straszny Dwór / The Haunted Manor,
Verbum Nobile / The word of a nobleman
DVORÁK Šelma sedlák / The Cunning Peasant
RIMSKY-KORSAKOV Sadko
BORODIN Knyaz’ Igor’ / Prince Igor
SZYMANOWSKI Król Roger / King Roger

なんでしょう、このレア感。
スラブ圏のバリトン(一部バス)アリア一網打尽ですね。

というか、ソロリサイタルではこういうラインナップを歌ってるらしい。そうだったのか。
個人的にはEugene OneginとKing Rogerが入っていてうれしい。

クヴィエーチェンのファンだけでなく、スラブ圏のオペラ好きな方にも訴える、なかなか渋めでクレバーなアルバム作成だと思います。オケがポーランド放送交響楽団というのも、この場合は逆に本場感があっていい感じではないでしょうか。

発売元のHarmonia Mundiってわたしはあまり聞いたことのないレーベルでしたが、DECCAとかに大々的に作ってもらうよりいいような気もします。

ここで試聴できます
http://ukstore.harmoniamundi.com/slavic-heroes.html

発売は2012年1月9日とのこと。

日本では、いまのところHMVオンラインが予約を受付中です
(さすがHMV、きちんと日本語で解説もついてて感激!)

HMVの「スラブ・オペラのヒーローたち」

【追記】その後、取り扱いが増えました(2011.12.22追記)

Tower Recordsの「スラヴ・オペラのヒーローたち」
amazon.co.jpのSlavic Heroes
amazon.co.jpからSlavic HeroesをMP3でも買えます(2012/1/24発売予定)

これだけモーツァルト&ベルカントバリトンで鳴らしているのだから、ソロアルバム1枚目はGreat Baritone Ariasかと思いきや、そうじゃないのね。
ちなみに、クヴィエーチェンの有名アリアにご興味ある方には、こんなCDもあります



(このタイトルとジャケはさすがにちょっとやっつけすぎやしないか、といつも思う)

若手オペラ歌手5人で録音しているのですが、METの「ドン・パスクワーレ」でも共演したマシュー・ポレンザーニと真珠採りのデュエットを歌っていて、これがとってもいい感じです。
ほかにも「ドン・カルロ」のロドリーゴの死のシーンや、「清教徒」のジョルジョとリッカルドのデュエット、もちろん「ドン・ジョヴァンニ」のお手をどうぞ等、これぞバリトンな曲を歌っているので、ご興味あればぜひどうぞ。
(ジャケから想像できるとおり、)非常にお求めやすい価格となっております。

amazon.co.jpのA Night at the Opera

HMVのA Night at the Opera

試聴はこちらから↓

amazon.comのA Night At The Opera

2011年12月9日金曜日

Teatro alla Scala のPremiere の DonGiovanni はなんかすごかった(Dec. 7. 2012.)(リンク先でPeter Matteiの舞台写真見れます)

日本時間の昨夜、ミラノスカラのプルミエ、ドンジョヴァンニの日でした。
やっぱりネットラジオ中継があったので、とりあえず聞いてみた。
中継局はいくらでもあるのに、なぜかバイエルン放送にしてみた。
非常に音よく聞けて満足。たまーに途切れたけど、まあ、仕方ない。

それでですね、今回の主なテーマは、実は内容じゃないのだ。
(内容は年末にテレビでも見れるし、カーセンの演出がとってもよかったらしいので、たぶんテレビ見たら、またいっぱい書いちゃうだろうしね)
ひとことだけ言うなら、マゼット重くね?と思った。誰かと思ったらコーツェンでした。
つい最近、騎士長やってたしなあ。なぜかこの人は老け役が多いからな。
大審問官とかもやってたもんな。あれもピンとこなかったが、マゼットもピンとこないかも。

さて、本題。
今日の記事の主役は @teatroallascala  さん。
そうなんです、あのスカラが、この秋からツイッター始めたのです。
なんとなくフォローしてたのですがこのアカウントのプルミエの荒ぶり方が尋常じゃなかった!

1、まず、公演の2時間前に楽屋口に潜入して、楽屋のドアの写真とかアップしてる
2、やってきた歌手のみなさんの写真をアップしてる(いいのか?)
3、メイクルームでお化粧してる歌手の皆さんの写真までアップ(いいのか?)
4、市長がきたとか首相がきたとかツイート
5、マエストロバレンボイムがピットへ、とツイート
6、イタリア国歌のために全員起立、とツイート
7、そして禁断の・・・・・

舞台写真キタ━━━(゚∀゚)━━━!!

まさかTwitterで、オペラの実況中継(写真付き)ですよ!

もうびっくりした!

Peter Mattei など、歌手のみなさんの舞台姿が垣間見れるなんて!

ラジオで聞いてたからすごい嬉しかったけど。

というわけで、トゥギャってみました。

#DonGiovanni @teatroallascala on twitter 2012

自分がまとめて見たかったから作ったけど、やはりなかなか見ごたえある仕上がり。
よかったら見てみてくださいね。
ミラノスカラのTwitterは本気出すとすごいぜ、という話でした。

2011年12月2日金曜日

クリスマスはNHK-BSで6夜連続「華麗なるオペラの世界 ミラノ・スカラ座」

つーか、こんなしょぼいブログで 続く、とかやってすいません。
もったいぶったわけではなくて、もう眠くて眠くて書ききれなかったのです。

(昨日の記事まとめ
2011年12月のミラノ スカラのオープニングナイトはすごい。
そしてそれは12月26日にNHKーBSで見れる)

そこから芋づる式で分かった情報がこちら

クリスマスはNHK-BSで6夜連続「華麗なるオペラの世界 ミラノ・スカラ座」!

どういうことかというと、
26日の「ドン・ジョヴァンニ」
(12月26日(月)【25日(日)深夜】 午前0時~4時 ※特別編成)を皮切りに、
6夜連続でミラノ スカラのオペラが放映されるのです!
気になるラインナップはこちら。

12月27日(火)0:30~2:30
歌劇「オルフェオ」(モンテヴェルディ)
指 揮:リナルド・アレッサンドリーニ
演 出:ロバート・ウィルソン
出 演:ゲオルグ・ニール
ロベルタ・インヴェルニッツィ ほか

12月28日(水)0:20~3:20
楽劇「ラインの黄金」(ワーグナー)
指 揮:ダニエル・バレンボイム
演 出:ギー・カシアス
出 演:ルネ・パーペ
ヤン・ブッフヴァルト
ヨハネス・マルティン・クレンツレ ほか

12月29日(木)0:20~4:20
楽劇「ワルキューレ」(ワーグナー)
指 揮:ダニエル・バレンボイム
演 出:ギー・カシアス
出 演:サイモン・オニール
ワルトラウト・マイア
ニナ・シュテンメ ほか

12月30日(金)1:00~3:40
歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」(マスカーニ)&
歌劇「道化師」(レオンカヴァルロ)
指 揮:ダニエル・ハーディング
演 出:マリオ・マルトーネ
出 演:ルチアーナ・ディンティーノ
サルヴァトーレ・リチートラ
ホセ・クーラ ほか

12月31日(土)1:00~4:30
歌劇「魔 笛」(モーツァルト)
指 揮:ローラント・ベーア
演 出:ウィリアム・ケントリッジ
出 演:ギュンター・グロイスペック
サイミール・ピルグ
ゲニア・キューマイア ほか

とりあえず、何が気になるってリングでしょう!
まだサイクルが完成してないのにテレビで見れるとか信じられないなあ。
撮って出しみたいなもんじゃん。

ああもう今から楽しみ。

2011年12月1日木曜日

2011年12月、スカラ座オープニングナイトのドン・ジョヴァンニはめちゃめちゃ豪華

さて、もはや方々で話題になっているので、私が書くまでもないのですが、ミラノ スカラのオープニングナイトがすごいことになっております。見てよこのキャスト!なんなんだこれは。よだれがでそうだ。
Don Giovanni
Peter Mattei
Il Commendatore
Kwangchul Youn 
Donna Anna
Anna Netrebko 
Don Ottavio
Giuseppe Filianoti 
Donna Elvira
Barbara Frittoli 
Leporello
Bryn Terfel 
Zerlina
Anna Prohaska
Masetto
Štefan Kocán
ネトレプコはこれがスカラ・デビューらしい。個人的には世界で一番好きなジョヴァンニのひとり、マッティがこんなに注目を集める演目でジョヴァンニをやるのが嬉しいです。マッティよかったねえ。伊達にクリスマスアルバムばかり3枚も出してたわけじゃなかったんだね。(注)

(注)なぜかマッテイはクリスマスアルバムばかり出しています(スウェーデン人であってフィンランド人じゃないんだけどなあ)が、そのうち一枚は比較的新しく、予約もできますし、ダウンロード販売なら今すぐでも買えるようです。
あと、古い方のクリスマスアルバムで良ければ、東京23区内で唯一、目黒区の図書館の蔵書に入っております。偉いぞ目黒区!私もほとぼりが冷めた頃(年明けでしょうかね?)に、借りに行きたいと思います。

ちなみにこのオープニングナイト、アメリカなどでは、映画館で生中継されるそうですが(いいないいないいな!)ここ、日本でも、TV放映が決定したようです。

12月26日(25日深夜)にいち早く放送とのこと。
というか、これ調べてたら芋づるで出てきたのがさ・・・
(次回に続く)

2011年11月29日火曜日

黛敏郎: 「古事記」(東京文化会館50周年記念フェスティバル, Nov. 23. 2011)

Blogを定期的に更新しはじめてから約1週間たち、アクセス解析など眺めてみたら、METのライブビューイングについての記事よりも、日本のオペラやコンサートについて書いたページのほうがアクセスが多かったことに気がつきました(正直、これにはびっくりしました。そういうものなんですね)。それはつまり、いまのところ、このblogに関していえば、どうやらそっちのほうが需要がある、という意味だと思うので、見に行ったコンサートやオペラはなるべく落とさずに記録を残しておこうと思います。自分としても実演に接して好感を持った歌手の方の名前とかも記録しておきたいので、これが一石二鳥というやつですね(しかし私的にはMET記事やらなんやらにもかなり力が入っていることもありますので、よろしければそちらもお読みください)。
これは実際に見たのは11月23日(祝)だったのですが、記事が追いつかなかったため、本日、アップしました。しばらくしたら、23日の場所に戻します。

そういえば日本のオペラを見るのは初めて。
しかし、現代の新作オペラが結構好きな人間なので、たぶんイケルはず。
なにより日本初演なんだから、ここで見ておかないと、この先見られるチャンスがあるか、ちょっとわからない、というわけで、行ってきましたよ東京文化会館50周年記念フェスティバルの目玉、黛敏郎によるオペラ 「古事記」。

客席、賑わってます。入りは8割以上じゃないかな。ちょっとほっとした。
オペラ古事記は古事記から四つのエピソードを抜き出し、プロローグとエピローグをつけた四幕構成。

このオペラで扱われるエピソードですが、自分が意外と知っててびっくりしました。外国文学や外国文化のほうが得意だったので、古事記なんて読んだこともないし、さして興味がなかった(失礼!)にも関わらず、オペラで見てみたらエピソード単位では知っていました。
ああ、意外と刷り込まれてるんだ、とびっくり。

まず、プロローグとエピローグがすでによい。
能楽師の観世銕之丞さんがうたいのようにやってくれるんですがかっこよい!
基本、能の旋律なのに一箇所だけオペラ風に音を高めの半音上げた音にもっていって、
それがぞくぞくするかっこよさでした(プロローグ・エピローグのみ日本語)。

舞台装置はわりとシンプル。
円形とその周りを囲む部分(服でいったら襟みたいな部分)があって、真ん中の円形部分は回ります。ローマとかの円形劇場を思い出させる仕上がり。
これの背景に映像を映写したり、布を広げたりして場面が作られていきます。

衣装がとても美しくてため息が出るほど。上品だけどキラッキラです。
歌手の皆さんは美しい声、美しい容姿でほれぼれ。
特にイザナミの福原寿美枝さんとイザナギの甲斐栄次郎さんが美しかった。

なんとなく、スサノオがテノールだったことにびっくり。
スサノオ=バッドボーイ=バリトン、だろうと思ってましたが、バッドボーイというよりは無垢な力自慢、というふうに意味づけられているんですね。そして彼がみんなに信頼される神様になりたい、といってヤマタノオロチを退治することで一人前になるという。スサノオの物語はビルドゥングスロマンだったんだ!とびっくり。

音的には、非常に盛り上がる音楽でした。映画音楽のようなわかりやすさ。
正直、もうすこし難解だったり、乗り切れない音楽かもしれないと覚悟していたので、観客に対してかなり親切な音楽だと感じました。

個人的には、ヤマタノオロチの姿を出してほしかったです。
(スサノオとヤマタノオロチの戦いはコーラスによって歌で描写されるのみでした)
友人は、変なもの出されるより、言葉だけで語ったほうがよい、といっていました。
まあ、それはそうかもしれない。

全員にプログラムが配られましたがその中で、いざなみを追いかけて黄泉の国に向かうイザナギのエピソードがオルフェに似ていること、(無垢な力持ちの)スサノオがヤマタノオロチを倒す戦いがワーグナーのリングっぽいことなどから、きちんと解説しないと、ドイツの観客に剽窃と思われてしまう、という指摘を受けた、という話が面白かった。
たしかに、よく似てますよね。
神話ってすごいなあ。

とても楽しみました。日本初演を見ることができて、ほんとよかったです。

東京文化会館50周年記念フェスティバル
黛敏郎 「古事記」
2011年11月23日(水・祝)14:00

■指揮         大友直人
■演出         岩田達宗

イザナギ        甲斐栄次郎(バリトン)
イザナミ        福原寿美枝(メゾソプラノ)
スサノヲ        高橋 淳(テノール)
アマテラス        浜田理恵(ソプラノ)
オモイカネ        妻屋秀和(バス)
アシナヅチ        久保田真澄(バス)
天つ神/クシナダ        天羽明惠(ソプラノ)
使者            吉田浩之(テノール)
語り部        観世銕之丞
風の神/見張りの神        門間信樹(バリトン)
雨の神        清水理恵(ソプラノ)
雷の神        羽渕浩樹(バリトン)
雲の神        高橋華子(メゾソプラノ)
合唱            新国立劇場合唱団/日本オペラ協会合唱団
管弦楽        東京都交響楽団

■舞台美術     島 次郎
■衣裳         前田文子
■照明         沢田祐二
■振付         高野美智子
■合唱指揮     三澤洋史
■舞台監督     菅原多敢弘