2011年11月29日火曜日

黛敏郎: 「古事記」(東京文化会館50周年記念フェスティバル, Nov. 23. 2011)

Blogを定期的に更新しはじめてから約1週間たち、アクセス解析など眺めてみたら、METのライブビューイングについての記事よりも、日本のオペラやコンサートについて書いたページのほうがアクセスが多かったことに気がつきました(正直、これにはびっくりしました。そういうものなんですね)。それはつまり、いまのところ、このblogに関していえば、どうやらそっちのほうが需要がある、という意味だと思うので、見に行ったコンサートやオペラはなるべく落とさずに記録を残しておこうと思います。自分としても実演に接して好感を持った歌手の方の名前とかも記録しておきたいので、これが一石二鳥というやつですね(しかし私的にはMET記事やらなんやらにもかなり力が入っていることもありますので、よろしければそちらもお読みください)。
これは実際に見たのは11月23日(祝)だったのですが、記事が追いつかなかったため、本日、アップしました。しばらくしたら、23日の場所に戻します。

そういえば日本のオペラを見るのは初めて。
しかし、現代の新作オペラが結構好きな人間なので、たぶんイケルはず。
なにより日本初演なんだから、ここで見ておかないと、この先見られるチャンスがあるか、ちょっとわからない、というわけで、行ってきましたよ東京文化会館50周年記念フェスティバルの目玉、黛敏郎によるオペラ 「古事記」。

客席、賑わってます。入りは8割以上じゃないかな。ちょっとほっとした。
オペラ古事記は古事記から四つのエピソードを抜き出し、プロローグとエピローグをつけた四幕構成。

このオペラで扱われるエピソードですが、自分が意外と知っててびっくりしました。外国文学や外国文化のほうが得意だったので、古事記なんて読んだこともないし、さして興味がなかった(失礼!)にも関わらず、オペラで見てみたらエピソード単位では知っていました。
ああ、意外と刷り込まれてるんだ、とびっくり。

まず、プロローグとエピローグがすでによい。
能楽師の観世銕之丞さんがうたいのようにやってくれるんですがかっこよい!
基本、能の旋律なのに一箇所だけオペラ風に音を高めの半音上げた音にもっていって、
それがぞくぞくするかっこよさでした(プロローグ・エピローグのみ日本語)。

舞台装置はわりとシンプル。
円形とその周りを囲む部分(服でいったら襟みたいな部分)があって、真ん中の円形部分は回ります。ローマとかの円形劇場を思い出させる仕上がり。
これの背景に映像を映写したり、布を広げたりして場面が作られていきます。

衣装がとても美しくてため息が出るほど。上品だけどキラッキラです。
歌手の皆さんは美しい声、美しい容姿でほれぼれ。
特にイザナミの福原寿美枝さんとイザナギの甲斐栄次郎さんが美しかった。

なんとなく、スサノオがテノールだったことにびっくり。
スサノオ=バッドボーイ=バリトン、だろうと思ってましたが、バッドボーイというよりは無垢な力自慢、というふうに意味づけられているんですね。そして彼がみんなに信頼される神様になりたい、といってヤマタノオロチを退治することで一人前になるという。スサノオの物語はビルドゥングスロマンだったんだ!とびっくり。

音的には、非常に盛り上がる音楽でした。映画音楽のようなわかりやすさ。
正直、もうすこし難解だったり、乗り切れない音楽かもしれないと覚悟していたので、観客に対してかなり親切な音楽だと感じました。

個人的には、ヤマタノオロチの姿を出してほしかったです。
(スサノオとヤマタノオロチの戦いはコーラスによって歌で描写されるのみでした)
友人は、変なもの出されるより、言葉だけで語ったほうがよい、といっていました。
まあ、それはそうかもしれない。

全員にプログラムが配られましたがその中で、いざなみを追いかけて黄泉の国に向かうイザナギのエピソードがオルフェに似ていること、(無垢な力持ちの)スサノオがヤマタノオロチを倒す戦いがワーグナーのリングっぽいことなどから、きちんと解説しないと、ドイツの観客に剽窃と思われてしまう、という指摘を受けた、という話が面白かった。
たしかに、よく似てますよね。
神話ってすごいなあ。

とても楽しみました。日本初演を見ることができて、ほんとよかったです。

東京文化会館50周年記念フェスティバル
黛敏郎 「古事記」
2011年11月23日(水・祝)14:00

■指揮         大友直人
■演出         岩田達宗

イザナギ        甲斐栄次郎(バリトン)
イザナミ        福原寿美枝(メゾソプラノ)
スサノヲ        高橋 淳(テノール)
アマテラス        浜田理恵(ソプラノ)
オモイカネ        妻屋秀和(バス)
アシナヅチ        久保田真澄(バス)
天つ神/クシナダ        天羽明惠(ソプラノ)
使者            吉田浩之(テノール)
語り部        観世銕之丞
風の神/見張りの神        門間信樹(バリトン)
雨の神        清水理恵(ソプラノ)
雷の神        羽渕浩樹(バリトン)
雲の神        高橋華子(メゾソプラノ)
合唱            新国立劇場合唱団/日本オペラ協会合唱団
管弦楽        東京都交響楽団

■舞台美術     島 次郎
■衣裳         前田文子
■照明         沢田祐二
■振付         高野美智子
■合唱指揮     三澤洋史
■舞台監督     菅原多敢弘

2011年11月28日月曜日

モンテヴェルディ: 「ポッペアの戴冠」(一橋大学兼松講堂, Nov. 27, 2011)


モンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」を見て来た。
オペラを上演する際、セットも衣装も用意するフル上演と、歌だけを聴かせるコンサート形式の上演があるけれど、最近はコンサートホールなどで衣装と演技は付けるけれどセットはなし、というセミ上演みたいな形式がわりと増えている。
今回のポッペアもそういう形式。サントリーホールでいうところの「ホールオペラ」形式である。

初めて見たバロックオペラだったので、色々と新鮮。
各幕の前に、礒山 雅先生による解説があって、すごく理解しやすい。
というか、これは磯山先生と渡邊順生さんが熱心にすすめているプロジェクトだと感じた。

あらすじは(要約すると)
天上で幸運の神と美徳の神が争っているところに愛の神が現われ「わたしの影響力がもっとも強い。それを知ることになるだろう」と歌う。
ローマ皇帝ネロ(ネローネ)に美女ポッペアが取り入り、ネローネは公妃オッタビアとの離婚とポッペアとの結婚を決意し、それを愛の神が支援し、最後はうまくいくという、(珍しく説教くさくない)オペラです。

オペラ全体の感想として、まず声が高い!普段、ヴェルディとかワーグナーとかロシアオペラとか聞いている耳には、とにかく声が高い。 セネカが死を決意するシーンなんて、バス一人にテノール三人でかぶせるんですよ。なんだか新鮮な響き。

あと(これは作品の特徴なのか、ちょっとわからないけれど)歌詞が聞き取りやすい。使っているイタリア語がシンプルなのかもしれません。
歌声はみなさん美しく、どの方が、とかいうのもはばかられるほどですが、私個人としては、皇妃オッタヴィアの高橋織子さんと、高くて澄んだ美しいテノールを響かせた葛西健治さんと、乳母アルナルタの押見朋子さんが印象に残りました。ネローネの内之倉勝哉さんは舞台姿も美しく、友人は一番好きな声だ、と褒めていました。

モンテヴェルディ:オペラ《ポッペアの戴冠》

2011年11月27日(日)14時開演(開場13時30分)
一橋大学兼松講堂(JR国立駅南口徒歩7分)

櫻田智子、高橋織子、阿部雅子、西村有希子、安田祥子(ソプラノ)
布施奈緒子、湯川亜也子、押見朋子(メゾ・ソプラノ)
葛西健治、長尾譲、内之倉勝哉(テノール)
小田川哲也、狩野賢一(バス)・・・・・登場順

オーケストラ:ザ・バロックバンド
ヴィオラ・ダ・ガンバ:平尾雅子
リュート:金子 浩
指揮とチェンバロ:渡邊順生

監修・解説:礒山 雅
演出:舘 亜里紗
音楽アドバイザー:櫻田 亮

2011年11月27日日曜日

Wagner: SIEGFRIED (MET Live in HD, Nov. 5. 2011)

                                          ジークフリート(ジェイ・ハンター・モリス)

MET LIVE in HD で「ジークフリート」を見てきた。長いので夕方から。銀座東劇の混み具合は まずます。さすが初日、という感じ。
2010-2011シーズンから始まった、METの新しいリングは、今期に「ジークフリート」と「神々の黄昏」を上演し、今期の後半には、初のリングサイクルを回します。

今回の「ジークフリート」は注目された作品にしては、どうも不運で、問題が多くて大変だった印象。
まずは指揮者レヴァインの降板(代打はファビオ・ルイージです、いつもどおり)
そして、ジークフリート役は、当初、ベン・ヘップナーだったのがシーズン開始直前に ギャリー・レイマンに交代、しかしそのレイマンがランの直前に病気で降板。
通常なら、なんとかして話題性のある歌手を探しあててくるMETですが、さすがにここまで直前でヘルデン・テノールが余っている訳はなく、アンダーだったジェイ・ハンター・モリスがジークフリート役を務めます。さて、果たしてどうなる?

前半二作品を見たときも感じたけど、この演出はやはりとっつきやすい。
最新技術を使って、ワーグナー作品を忠実に舞台化しようとする気概を強く感じる仕上がり。

その中で最初に気になったのは、やはりジークフリートのモリスの声。一幕のはじめは、ミーメと2人のシーンなので、テノール2人で歌うことになり、そうするとどうしても声質の比較になってしまう。
前回、「ドン・ジョヴァンニ」上映時の予告からちょっと気になってはいたんだけど、モリスの声がちょっとオペラ歌手っぽくない。ミュージカルっぽいというか、(いわゆる日本でいう)アニメ声っぽい感じもする。
そのせいで、ジークフリートの声がなんとなくファニーな響き方をしてしまう。しかも、ミーメ役で共演しているゲルハルト・シーゲルが、格好や演技はキャラクターテノールだけど、声と歌がしっかりしてる(シーゲルのインタビュー、超面白かったんだけど、過去にジークフリートも3回くらいやったことあると言ってた。外見をかなりファニーに作っているから意外かもしれないけど、シーゲル自身の声や歌唱力や演技力はジークフリートできる実力を持っている人な気がした。でも、彼はジークフリートには器用過ぎるかもしれない)。2人の掛け合いを見てると、正直、どっちがミーメかわかんなくなってきたな、という恐ろしい思いが浮かんできて、それを必死で打ち消すのであった。
しかし面白いもので、それにも慣れていく。

しかし、見始めから、ずーっと、ジークフリートってジークムントの息子だよね?つまりかのヨナス・カウフマンの息子の役だよね?ジークフリートってジークリンデの息子だよね?エヴァ・マリア・ウェストブルックの息子ってことだよね?
    ジークムント(ヨナス・カウフマン)とジークリンデ(エヴァ・マリア・ウェストブルック)

なにをどう考えても、見た目が全然、どっちにも似てないですけど!つーかあの金髪はどこからきたのだ!両親とも美しいダークヘアだったぞ!と思っていたのが、だんだん、むしろジークムントの黒い髪、暗い声は悲劇的な人物としての彼の運命の現れで、ジークフリートが金髪で、能天気なほど明るい声質なのは、これが怖れを知らないということなのかも、とか思えてくるから不思議です。
そして二幕で、ジークフリートが両親を思って歌うときになんだか泣けてしまった。
会ったことのない両親を思うジークフリートに、前作「ワルキューレ」で、ジークムントとジークリンデがどれほど苦しんだか、彼らにとってお互いがいかに救いだったか、でもその時間か長くは続かなかったこと、それでもお母さんはあなたに希望を託したんだよ、と教えてあげたくなって泣けてきた。

演出について話を戻すと、大蛇がかわいらしすぎる件についてつっこみたい。あれはなんだったんだ。ファフナー(人間のほうの)と入れ替わる必要があったとはいえ、あれはないだろう。
                  ファフナーのへび(なんとなくかわいい系)


特に「ラインの黄金」でアルベリヒの変身した大蛇が(蛇というよりは恐竜の骨格だったけど)プランク(今回の舞台セットである The Machine の24本の板のこと)をうまく利用した、美しく恐ろしい仕上がりだっただけにちょっと本気でがっかりした。
アルベリヒの大蛇(むしろ恐竜的ななにか)プランクが背骨を表す


今回の売りのひとつである、森の小鳥を筆頭とする3D度合いはスクリーンではピンとこなかった。映像は確実に美しくなっていたけど、そのことと3Dの関係はちょっとわかりにくかった。これは現場で確認するしかないでしょう。

演出面を総合してざっくりと評価するなら、「ワルキューレ」よりはまし、でも、「ラインの黄金」の仕上がりにはまだ及ばない感じ。なにが「ワルキューレ」よりましかというと、映像の美しさで勝っていること、何が「ラインの黄金」に及んでいないか、というと、The Machine を使わなければできない演出で観客が驚くようなもの(「ラインの黄金」でいう、ラインの乙女が宙に浮かんでハイヤハイヤを歌う場面や、ニーベルハイムへ下っていく場面のような描写)が、今回も少なかったから。

そしてこれは非常によくない傾向だと考える。 「ジークフリート」の演出の特徴として、これまでの2作品と比べ、3D映像を採用したことと、投射される映像がより美しかったことが指摘できる(今回、特に水の映像の美しさが際立っていた。技術者へのインタビューで、波を投射する技術について語られていたから、おそらくあれは新しく採用された技術で、これを見せたくて作った場面もあるだろう。ヴォータンが水面に波を立てるシーンとか。美しいけど必然性に薄いから、多分あれは映像の美しさを見せるために入れられたシーンだと思う)しかし、ルパージュが映像の魔術師なのは今にはじまったことではないから、彼がどれほど美しく、臨場感のある映像を持ってきたとしても、それだけでは弱い。
この演出に彼が持ち込んだThe Machineは、重くて不具合も多く、Metのファンからだけでなく、スタッフからも文句が出ているようだ。だからこのリングの演出においては(投射する映像が美しいだけでなく)プランクの使い方に必然性と卓越したアイディアを提示して、この作品はThe Machineがなければ作れなかった、というところを見せる必要がある。なんとか「神々の黄昏」では、ああ、このためにThe Machineが必要だったんだな、と納得のいく場面がほしい。

今回だとジークフリートが炎の中をかけていくシーンとかはよくできていた。プランクの間に落ちそうではらはらした(そういう冒険としてのシーンなので良い使い方だと思う)

剣が折れるとか、槍が折れるときは、ふつうに人力で折れるのもこの演出の特徴のひとつなので、まあいいでしょう。

エルダがキレイだった(そしてそこはかとなくレディ・ガガ風だった。もちろんいい意味で)

しかし、この演出だと、一対一で歌う場面(三幕もそうだし、「ワルキューレ」のヴォータンとブリュンヒルデの対話もそうだし)が、見た目ちょっとさみしくなる傾向は否定できない。


「ジークフリート」を見て、いちばん感じたのが、「ジークフリート」に対する「ワルキューレ」の一幕の影響力の大きさ。モリスがどんなに能天気に歌っているように見えても、カウフマンのジークムントを思い出すとなんだか泣けてくるこの感じ。これはおそらく、年代記っていう枠組みの面白さにやられたんだと思います。

しかし、悲劇のヒーローとして生まれついているジークムントと、悲劇を克服する無垢な英雄として生まれたジークフリートの、両方を演じるテノールもいますよね。ひとりの歌手が両方を演じると、どんな感じになるんだろう?(この疑問は、METのリングを超えたところの話だけど)


Wagner: SIEGFRIED
(MET Live in HD, Nov. 5. 2011)
New Production

Brünnhilde Deborah Voigt
Erda Patricia Bardon
Siegfried Jay Hunter Morris
Mime Gerhard Siegel
The Wanderer Bryn Terfel
Alberich Eric Owens

Live in HD Host Renée Fleming

Conductor Fabio Luisi
Production Robert Lepage
Associate Director Neilson Vignola
Set Designer Carl Fillion
Costume Designer François St-Aubin
Lighting Designer Etienne Boucher
Video Image Artist Pedro Pires

2011年11月24日木曜日

第6回静岡国際オペラコンクール入賞者記念コンサート(紀尾井ホール, Nov 24. 2011)

今日は第6回静岡国際オペラコンクール入賞者記念コンサートを見てきました。
今回の入賞者(=本日の出演者)はこちらの3名。


ソプラノ 吉田 珠代  第2位(第1位該当者なし)・三浦環特別賞
 バリトン イム チャンハン  第3位
ソプラノ 高橋 絵理  第3位・オーディエンス賞
この組み合わせだと、ついつい、ソプラノは聞き比べになってしまうけど、すごくおもしろかった(特に今回は、二人とも「ラ・ボエーム」を歌う予定だったので、余計、気にしてしまった)
プログラム詳細は下記

自由席だったので(紀尾井ホールの音響に興味があって)前半は上手の席 、後半は二階席正面に座りました。

前半は高橋さん、イムさん、吉田さんの順で2曲づつ、20分の休憩を挟み、
後半はイムさん、高橋さん、吉田さんの順で2曲づつ歌います。

  1. まず高橋さんの一曲目。 ルサルカから「月に寄せる歌」のアリア。これはちょっとタイムリーです(※昨日から新国立劇場でルサルカが上演中だから)
    クリアで明るい声。そしてクライマックスに向けて、どんどん増す音量。圧倒されました。例えていうなら、METを揺るがす大声、ことソンドラ・ラトヴァノスキー姉さん系の大声量。(褒めてます。生まれて初めて生で観たオペラがヴェルディの「イル・トロヴァトーレ」で、ソンドラ姉さんのレオノーラが大活躍してたんですよ。わたしはソンドラさんはすごい好きです)でも全くにごりのないきれいな声であれだけ声量があるとなんかすごいです。
    彼女がオーディエンス賞を取るのはすごくわかる。声で圧倒される、というのは最も原始的なオペラの楽しみかただと思うし、わたしもいまでもやっぱり声の迫力のある歌を聴くと感激します。わたしのすごく好きな声でした。
  2. 次はイムさんの1曲目。この人の声は明るめのバリトンの響きに感じました。(ところがその印象が後半ちょっとかわります。それは後ほど)プッチーニのあまり知らない曲でしたがきれいにまとめてた。
  3. そして今回最高位の吉田さん。曲はコジ(これまでの中ではダントツ有名曲) うん?あれ?わたしのれない?なぜ?
  4. 高橋さん、次はタンホイザー!いやぁ、この声量ならワーグナーは映えるでしょう!
  5. イムさんはドイツ語の曲。このときが1番、 声が軽く響いていた気がします。(わたしはバリトンは明るく軽く響くのが好きなので、このときの響きが一番好きでした)
  6. そして吉田さん、ボエームから「私の名はミミ」
    (不公平にならないようにあらかじめ断っておきますが)わたしはどうもプッチーニがやや苦手で、そのせいもあってか、ここでもどうもピンとこない。

    そのまま休憩に突入。(わたしはここで2階席に移動しました)
    今回のプログラムの傾向として前半は地味目の曲、後半は有名曲、という感じでした。もしかしたら、後半はお客さんが聞きたそうな曲を歌ってくれたのかもしれません。
  7. 後半はイムさんからスタート。ヴェルディのファルスタッフ。このときに、「あれ、ちょっと無理して深い声出そうとしてる?」と感じてしまいました。
    若いバリトンを聞くと、たまに感じるんですよ(特にヴェルディで起こりやすい)なんか、無理してバリトンぽく歌ってるみたいな感じが。イムさんの声は前半では明るくて華やかな声だったように感じたので、変に力は入んないほうがいいなあ、と感じました(ただし、この響きの変化の原因はちょっと謎です。後半2曲ともヴェルディだったせいで声の質感が変わって聞こえたのか、席移動のせいなのか、判断がつかなかった)
  8. そしてここで高橋さんの「ラ・ボエーム」がきました。さようならのアリア。
    プッチーニなのであまり心は動かなかったのですが、なんとなく、吉田さんよりも(漠然と)ミミという役は似合ってるような気がする、と思う。
  9. 次の吉田さんはドンジョヴァンニのアリア。
    しかし、これ、最初全然わからなくて、「あれ、わたしここ1箇月くらい、ドン・ジョヴァンニしか聞いてないのに、なんでこの曲わかんないんだろう?と思いましたが、しばらく聞いてドンナ・アンナの超絶アリアと判明。
    そうかわたしは、キャラクターとしてのドンナ・アンナにいまいち思い入れがないせいで、まさかアリアの判別もつかないのか、と自分でびっくりしました。やれやれ。
    そしてこの時に初めて、吉田さんの声って大人っぽいんだ、と気づきます。
    メゾ、とは言わないけど、声のカラーが暗めで、ちょっとお姉さんな声なんですね。
    (だから、ちょっとボエームのミミが違う感じがしたのだ、とここで納得)

    ここからは怒涛のラスト曲です。
  10. イムさん、バリトンとして外せない超名曲「ドン・カルロ」ロドリーゴの死のシーンを持ってきた!これはもう、この歌が好きなのでとりあえず楽しみ!と思ってワクワク。
    第一声を聞いて、いい声だ!と思うと同時に・・・なんか違う?・・・これ・・・フランス語じゃん!てゆーか「ドン・カルロス」じゃん!事件発生!
    ・・・そういえば「ドン・カルロス」は聞いたことなかったので、非常に珍しい体験をした気持ち。
    パフォーマンスはほんとによかったです。これを聞きたかったのよ!という感じ。(ただ、個人的にはやっぱりイタリア語版で聞きたかったなあ)なんにせよ、やっぱこの曲聞くとアガります。
  11. 高橋さんの「運命の力」
    ソンドラ姉さんに例えるぐらいなんで、やっぱり高橋さんのヴェルディを聞いてみたかったんです。そして超良かった。迫力あるし、声にもあってる。すごくよかった。
  12. そして本日のハイライト、吉田さんの「こうもり」チャールダッシュ!
    ここで超納得。吉田さんの声は、やっぱり暗めカラーで大人っぽいから、こうもりの伯爵夫人がピッタリ!ダンスも決めて、めちやめちゃかっこよく盛り上げてくれました。
そしてこの時に、衣装の選び方も納得。
高橋さんは、(上の写真とは違って)薄いピンク色でスカートがふわーと広がって、スカートの右半分に目もくらむばかりにラメをふりかけた、ロマンティックで華やかで、若々しくてチャーミングなドレスを着ていたんですね(とっても似合っていてかわいらしかった)。

それに対して吉田さんは、この写真で写っている、深い紫色で、スカートがマーメイド型で体にフィットして、胸の谷間を強調したドレスを着ていらっしゃいました。で、はじめに見たときに、大人っぽいけどちょっと地味に感じるな、と思ったんですが、こうもりを歌う吉田さんを見て、なんて声のカラーを的確に表した衣装だったんだろう、と感心しました。
(でも、もしひとつだけ言えるなら、彼女の声とキャラクターなら、ミミを選んだのはあまり賢い選択じゃないように思いました。)

この曲で本当に盛り上がって、今日のコンサートは終了。
若手によるガラみたいで、すごく楽しかったです。

でも、実は静岡国際オペラコンクールの最大の特色は2次予選にあるんです。

「オペラの一役を自選し、全曲の中から指定された箇所を約20分間演奏して審査を受けます。これは世界でも数少ない審査方法で、出場者の発声技術や表現力はもとより、経験も問われる難度の高い内容となります。」

ふつうの声楽のコンクールでは、アリアを歌ったりする審査が多い中で、静岡では、その役の場面を演じることが審査対象になってます。ピアノ伴奏のみで、場合によってはピアノ伴奏者が相手役を歌ったりもするそうです。すごい面白そう。

素敵なコンサートをありがとうございました。すごく楽しかったです。

【プログラム】

1 髙橋 絵理
ドヴォルジャーク 「ルサルカ」 空の奥深くにいるお月様
Dvořák "Rusalka" Měsičku na nebi hlubokém

2 イム チャンハン
プッチーニ 「エドガール」 この愛は僕の恥
Puccini "Edgar" Quest amor, vergogna mia

3 吉田 珠代
モーツァルト 「コジ・ファン・トゥッテ」岩のように動かずに
Mozart "Così fan tutte" Come scoglio immoto resta

4  髙橋 絵理
ワーグナー 「タンホイザー」 おごそかなこの広間よ
Wagner "Tannhäuser" Dich, teure Halle

5  イム チャンハン
コルンゴルド 「死の都」 わが憧れ、わが幻
Korngold "Die tote Stadt" Mein Sehnen, mein Wähnen

6  吉田 珠代
プッチーニ 「ラ・ボエーム」 私の名はミミ
Puccini "La bohème" Si mi chiamano Mimi

休憩

7  イム チャンハン
ヴェルディ 「ファルスタッフ」 夢か現か
Verdi "Falstaff" È sogno? O realta?

8  髙橋 絵理
プッチーニ 「ラ・ボエーム」 さようなら
Puccini "La bohème" Addio, donde lieta usci

9 吉田 珠代
モーツァルト 「ドン・ジョヴァンニ」 恋人よ、私を不親切な女と思わないで
Mozart "Don Giovanni" Non mi dir, bell' idol mio

10  イム チャンハン
  ヴェルディ 「ドン・カルロ」 おお、カルロお聞き下さい
  Verdi "Don Carlos" O Carlos, Ecoute

11 髙橋 絵理
ヴェルディ 「運命の力」 神よ平和を与えたまえ
Verdi "La forza del destino" Pace, Pace mio Dio

12 吉田 珠代
J.シュトラウス 「こうもり」 ふるさとの調べよ
J.Strauss "Die Fledermaus" Klänge der Heimat

第6回静岡国際オペラコンクール入賞者記念コンサート
(11月24日(木)紀尾井ホール)

出演

ソプラノ 吉田 珠代  第2位(第1位該当者なし)・三浦環特別賞
バリトン イム チャンハン  第3位
ソプラノ 高橋 絵理  第3位・オーディエンス賞

ピアノ  村上 尊志

2011年11月23日水曜日

Mozart: Don Giovanni (二期会創立60周年記念公演 ゲネプロ,日生劇場, Nov. 22. 2011)

まさか一週間に二回もドン・ジョヴァンニを見るとは思わなかった。
そういうこともあるんですね。

昨日は二期会創立60周年記念公演「ドン・ジョヴァンニ」のゲネプロを見学してきた。
キャストは後半組。(詳細は最下部に)
昨日書いたのですが、内容がネタばれまくりなので、初日がはねた今日まで待って公開します。

演出はカロリーネ・グルーバー、ライン・ドイツ・オペラとの共同制作ということで、ちょっとユーロトラッシュかも、と覚悟してきたつもりが、そんな覚悟が粉々に打ち砕かれる演出でした。いやぁ、私、ドイツのレジーなめてました。

胃が痛くて仕方ないです。まさか肉体的にくるとは。
前半はまだ大丈夫だっただけに、後半のショックがでかかったんだと思います。
しかしすごく勉強にはなったし、書きたいことはいっぱいあるのでさっさといってみよう。

オープニング、演出の都合で嵐と雷のSEから入ったけど、これはなくてもいいかも。というか、せっかくの序曲の入りの迫力が削がれた感があって、あまり好きでない演出でした。照明で嵐の描写しながらあの序曲流すだけで十分 、嵐のイメージになると思うんだけど。
なので、序曲の入りではちょっとずっこけた。SEと切れ目がなかったので、あ、いま入ったの?みたいになってしまった。そのせいか、序曲の前半、なんか遅い?もたもたしてる?と感じてやきもきしましたが、後半どんどんわたしの好きなスピードになっていったのでよかった。

しかしここでまさかの落とし穴 。レポレッロの声がうまく聞こえない。後半には調子出てきた部分もあったけど、今日のキャストの中で一番、歌がちょっとどうかな、と思ったのはレポレッロでした。

しかしドンナ・エルヴィーラの歌が超いい!(その後、女の人は3人とも超いいことが判明)

そしてジョヴァンニも、恐れていたよりずっといい!ジョバンニは声は高めに聞こえました。輝かしい系の声だと思う。ただ、ここぞという場面であんまり良くないときもあった(セレナーデがよくなかったのが痛かった。「お手をどうぞ」もそこまでよくなかったような気がするので、この辺が響きにくいのかも?)逆にレチタティーヴォはほとんど良かった。あと、シャンパンアリアをきっちり決めてくれたので、それだけで高得点です(シャンパンアリア、ちょっとゆっくりだったように感じました。ただ私が普段聞いてるのがペーター・マッテイのライブ音源で、めちゃめちゃ早くてきっちり決めてるやつなので、比べる私が良くないと思う)。

というわけで、これ以降、みんな声がよくて歌がうまいので楽しく聞けました。ツェルリーナも声がキンキンでなく、優しい響きだったから、いつもより全然腹が立たなかった(なぜかいつもツェルリーナというキャラに腹が立って仕方ないんですね。なにか個人的な恨みでもあるのだろうか)

マゼットもよかった。彼は出世魚系のマゼットですね。 背が高くて声がきれいでまだ若いから。早く出世して、よいレポレッロになってほしいものです。
(※出世魚系=「ドン・ジョバンニ」にはバスバリトンが歌える役が3つあり、その3つとはマゼット、レポレッロ、ジョバンニ。なので、若くて舞台映えのする、モーツァルトを歌えるバスバリトンが現れると、とりあえずマゼットから修行をはじめて、レポレッロを経由してドン・ジョヴァンニを目指す、というコースがよく取られます。これが出世魚コース。ルカ・ピサローニもこのタイプ。まだレポレッロですが。あとはアーウィン・シュロットとかもそう。逆にハイバリトンだと飛び級で直接ドン・ジョヴァンニ・コースしかない)

まあ、そんな感じで1幕終了。やや退廃的な空気を漂わせてはいますが、そういうのは別に平気なので、このくらいなら大丈夫だな、と思って油断してた私は2幕でぼっこぼこにされてしまうわけです。

もともと、かなり性的な表現をしっかりやる演出方針ではあった。1幕序盤のドンナ・アンナは完全に合意の上で性行為に及んでいるし(しかもそれをドン・オッターヴィオに「なにがあったか説明してください」と言われ歌うときに、後ろで再現用の役者が再現するという念の入れよう)。しかし、私がへこんだのは、単に過剰な性的表象だけではない(その程度ならせいぜい辟易する程度)。

ピンポイントで胃が痛くなったのはここ!
ジョヴァンニとレポレッロの入れ替わりシーン。
この入れ替わりのシーンがすごく好きで、たぶんドンジョヴァンニの中で好きなシーンベスト3に入るくらい好き(その次に好きなのが、美人がいる、と思って声かけたら、自分が捨てたドンナ・エルヴィーラだった、という通称「バカじゃないの」シーンです)なのですが、今回、なんとここで、入れ替わらない(涙)
まずは通常の演出ではどうするか、振り返りましょう。


(↓ちなみにこの演出だとジョヴァンニとレポレッロの体格差がありすぎて服を交換したあと、どっちも笑える姿になっているところもポイント)


ジョヴァンニが「ドンナ・エルヴィーラの女中を口説くから、ちょっとお前の上着かせ」といってレポレッロの上着を取り上げ、自分の上着を着せています。ちょうどそこへドンナ・エルヴィーラの声が聞こえ、チャンスとばかりに レポレッロに「おれのふりしろ」と指示して、エルヴィーラを口説く歌を歌います。レポレッロは歌に合わせて口パクで身振り(エア・ジョヴァンニ(笑))を披露。口説かれて、下に降りてきたエルヴィーラにレポレッロがジョバンニのフリをして近づいたところで本物のジョヴァンニが後ろからはやし立てて追い払い、女中にむかって(あの美しい)セレナーデを歌うのです。

で、今回の演出ではどうだったか。まず、そもそもドンナ・エルヴィーラがすごく近くにいる(通常のように上の階にいるわけじゃない)。服も着替えないまま、ジョヴァンニ本人が直接エルヴィーラに歌いかける。で、通常ならレポレッロへの指示であるレチタティーヴォを、レポレッロ・エルヴィーラ両方を目の前にして歌うんです。

そうするとどうなるか。
1、コメディとして超面白いこのシーンがまったくコメディじゃなくなる

服を着替えてエア・ジョヴァンニするだけですごく笑えるこのシーン、三重唱でレポレッロが「ああ、彼女またこれで騙されちゃうんだろうな」と歌ったところで大ウケ。とにかく笑える傑作シーンなのに、入れ替わらないとくすりとも笑えません。

2、ドンナ・エルヴィーラがすごく惨めなひとになる

全然入れ替わってないので、レポレッロとジョヴァンニを取り違えたわけでもなく、あくまでジョヴァンニの指示でレポレッロと一緒に出ていくので、なんだかねー。引くに引けなくなってしまった女の人の末路みたいで、見るに耐えられない感じなのです。エルヴィーラが涙ぐむ演技が入るし(この場面の醜悪さについて、わたしはいまもうまく書くことができない)


で、おえーってなってしまったのです。(ここで忍耐のゲージを振り切ってしまったらしい)

地獄落ちとそれ以降も工夫してたし、舞台装置も面白い発想ではあったけれど、なんかもうこの場面でいいや、と思ってしまいました。

(この場面の気持ち悪さについては、うまくかけるようになったら書きたいけれど、これをうまく整理できるようになる自信が今のところ全然ない)

なんでここまで嫌だったのかを、少し分析してみた。
例えば、ワーグナーのリングでなら、かなりえげつない話が進行しても私は全く抵抗はない。
(ちなみに、リングはそもそもえげつない話じゃないか、という指摘は全く正しい。)

「ドン・ジョヴァンニ」はドラマ・ジョコーゾ(dramma (giocoso) per musica(音楽のためのおどけたドラマ)と書いてあるくらいなので、コメディであることがこの作品の本性だと考える。


もちろん、この作品には人間のどうしようもなさ、救いのなさも書き込まれている。しかし同時に、それでも生きていく人間の強さや生き生きした暮らし、一般的な誠実さとは違っていてもキラキラと輝く美しい瞬間が丁寧に書き込まれている。

人間の醜悪さが作品に含まれているからといって、そればかりを強調してコメディ部分を捨象してしまうと、作品の楽しさが失われてしまうだけでなく、物語のリアルさをも薄めてしまうように感じます。

 
というようなことを感じました。
きょうはここまで。
今回の収穫のひとつは、私の中でのレジーの基準が少しはっきりしたことだな。
(まあ、それは文学の分析と同じなのだけど)
作品に全く含まれていないことをこじつけるのもレジーだが、
作品に含まれているある側面だけを取り出して、過剰に強調することで本来の文脈を失わせるような行為も、わたしはレジーと感じるのだと知りました。

レジー嫌い=保守的なオペラファン、と思われるとちょっと違うので、一応強調しておくと、
  • 現代オペラ大好きです。昨シーズンのNixon in China もすごく楽しかったし、今シーズンのSatyagrahaも楽しみにしてます。(というかサティアグラハはタイトルロールがリチャード・クロフトなんですよ!この人は本当に美声で、テノールなんか褒めたことない私が手放しで絶賛してたりして。ああもう今から楽しみ) 
  • 視覚的な派手さな演出や革新的な装置とか、めちゃくちゃ好きです。METが今、積極的に演劇の演出家にオペラ演出をさせてますが、ああいうのもどんどんやってほしい。基本的に派手好きで新しいもの好きなのです。
はあ。何か疲れたので、心が休まる動画from Don Giovanniを大量に貼っておきます。

 1、「お手をどうぞ」のデュエット。クリスマス番組かなにかでしょうね。はく息の白さ、コートの分厚さをみると超寒そう。でもいい歌。

(ちなみにこの女性の方、Lisa Nilsson さんというソウル歌手で、ヘッド・ボイスで歌えるとは思いもしなかった、という感想が寄せられているほど、声楽とは関係ない方なのだそうです。しかしあまりにうまくてびっくり。)


2、ドン・ジョヴァンニのセレナーデ





(別に2パターン貼る必要はなかったが、つい貼ってしまった。2つめのほうが音といい、質がいいのだけど、これを見てマッティの印象がオールバック眼鏡になってしまうと とても困るため)

ものはついでなのでもうこれも貼っちゃう。「フィガロの結婚」の宣伝でシアトルのケーブルテレビか何かのインタビューを受けるクヴィエーチェン(この映像は音は悪いです)。このインタビューを見るたびに、この人ほんといい人なんだなあ、と思う。最後になにか歌って、とお願いされて、じゃあドン・ジョヴァンニからシンプルな歌をひとつ、といってセレナーデを歌ってます。(3分40秒あたり)



おまけでシャンパンアリア。珍しいものを見つけたのではっておこう。

Mozart: Don Giovanni
(二期会創立60周年記念公演 ゲネプロ, 日生劇場, Nov. 22. 2011)

ドン・ジョヴァンニ         宮本益光
騎士長              斉木健詞
ドンナ・アンナ         文屋小百合
ドン・オッターヴィオ     今尾 滋
ドンナ・エルヴィーラ     小林由佳
レポレッロ         大塚博章
マゼット              近藤 圭
ツェルリーナ         盛田麻央

合唱:            二期会合唱団、びわ湖ホール声楽アンサンブル
管弦楽:            トウキョウ・モーツァルトプレイヤーズ

指揮:                 沼尻竜典    
演出:               カロリーネ・グルーバー    
                 
装置:                 ロイ・スパーン    
衣裳:                 メヒトヒルト・ザイペル    
照明:                 山本英明    
演出助手:           家田 淳    
                 
舞台監督:           大仁田雅彦、飯田貴幸    
公演監督:           三林輝夫


2011年11月22日火曜日

Mozart: Don Giovanni (MET Live in HD, Oct. 29. 2011)

話題騒然だったMET Live in HD のドン・ジョヴァンニを見てきた。
いろいろなことが起こったので、ついつい初日以降、劇評など読んでいたために、この3週間がひどく長く感じられてしまった。
新宿ピカデリーでは一番大きい1番スクリーンでの上映。1番スクリーンは音響も一番いいので期待できます。580席。
週末なのでぎっしり埋まっている感じでした 。

今回のドン・ジョヴァンニには(私的)見どころが何点かあって、それは
1、マリウシュ・クヴィエーチェンはちゃんと動けているか(手術から2週間なので身体が心配)
2、つまらないといわれている演出は実際どう感じられるのか
3、ドン・ジョバンニとレポレッロの関係を、この演出ではどのように見せているか

(まあ、他にも、
・クヴィエーチェンのかつらは変じゃないか
・今回ジョヴァンニよりレポレッロのほうがずっと背が高いという現実の前に、きちんとクヴィエーチェンは風格を出せているか、
・ドンナ・エルヴィーラをだますシーンで、この明らかな身長差をどうやって処理しているか
など、もろもろ細かいチェックポイントもあったのだが、それはおいおい)

オペラファン歴の短い私としては非常に珍しいことだが、ルカ・ピザローニのレポレッロは、以前、見たことがある。

ワールドクラシック@シネマ2011で2010年7月のグラインドボーン音楽祭のドン・ジョヴァンニを見たのだ。(2011年8月)
ワールドクラシック@シネマ2011 ドン・ジョヴァンニ

このときはジョヴァンニがジェラルド・フィンリー(奇しくも、今回のMETの後半のキャストのジョヴァンニでもある。ただし後半はレポレッロもジョン・レリエに交代)だった。

演出は現代風で、レポレッロはポラロイドカメラを首からかけて、女の子たちの写真を撮ってカタログに入れてました(となるとカタログというよりアルバムだな。 便利でいいなーと思いました。首からカメラ下げてるピザローニを見て、なぜか「ローマの休日」の新聞記者を思い出した)。

 で、その時の感想メモが残ってるんだけど

映画館で「ドン・ジョバンニ」よかった。笑いどころの多い演出、割とリアルな血糊と現代衣装でとっつきやすい仕上がり。しかしおいしいところはレポレッロ が持って行ったなぁ。ルカ・ピザローニさん。覚えておこう。ジェラルド・フィンリーは悪くないけど、ジョバンニっていう役は複雑すぎるなぁと思う

というあっさりしたもの。(これを読むと、この頃、私は「ドン・ジョヴァンニ」に興味なかったということがよくわかる)。全然感激してない書き方だ。まあ、ぶっちゃけてしまえば、ジェラルド・フィンリーのジョヴァンニが全然良くなかったんですね(今思えば)
なんか機嫌悪い感じで、こんなんで1800人もの女の人がなびくのかな?そうは思えないけどなあ(しかも隣にいるレポレッロのほうが、若いしかっこいいし優しそうで楽しそうにしているし)と思った覚えがある。しかもレポレッロといまいちかみ合ってない?なんかフィンリーにとりつくしまがなくて、という印象が強かった。

なのでこのときはピザローニの一人勝ちだったのですよ。私のなかでは。

だから、今回のMETのキャストを最初聞いたときはちょっとびびりました。
これはまさか、演技派で鳴らしたクヴィエーチェンが食われてしまうこともありうる?と思ったのです。演技のみならず、ピサローニがとても長身でイタリア人でわかりやすいハンサム、というのも、ちょっとした懸案事項だったわけです。
(少し調べてその心配はすぐ払拭されました。二人はジョヴァンニとマゼットで共演したこともあるし、伯爵とフィガロでの共演もあったから(もちろん「フィガロの結婚」の方ね。いくらハイバリトンでも、ロッシーニテノールの伯爵にはなれませんから)
というより、本来、ピザローニのレポレッロはかなり控えめなようです。レポレッロをやるときは、もちろんジョヴァンニの役に合わせるところからはじめます、とインターミッションのインタビューでも言っていましたし。だからよほど私がフィンリーのジョヴァンニと合わなかったんだろうと思う。フィンリーいい人だと思うんですけどね。別の役で見てみたいです)

クヴィエーチェンのジョヴァンニはたしかにノーブルですね。高貴で華やかで動きが機敏で頭の回転が速くてゲーム好きな感じ。余裕があるというよりはスピーディ。ちょっと躁的な気もします。なんだってお茶の子さいさいでできるけど、なんだってうまくいってしまうことが不満、という素振りを感じます。(でも実際は、オペラの中ではすべての企みは失敗しているのだけど)

クヴィエーチェンの声はすごく不思議で、CDに録音された歌声を聞くと無理に深い声を出そうとしているように聞こえてしまうのですが、オペラの映像の中で聞くと、心地よい軽い声に聞こえるんですよね。私には。なんでだろう?これはすごく不思議なことです。私としては、オペラの中で響く彼の声を魅力的に感じます。セレナーデとか、本当に綺麗でした。声の調子が悪くなくて安心しました。

ピザローニの歌もすごくいいです。聞いていて楽しくなるレポレッロらしさがよく出ている歌い方だと思います。あとレチタティーヴォ。ネイティヴのイタリア人なのもあり、レチタティーヴォが綺麗で表情豊かな歌声でした。

バーバラ・フリットリはいつも美しい声でうっとりしますが今回も綺麗でした。

(あとはあまり印象に残らなかった。ツェルリーナってなんで毎回、キンキン声のソプラノがキャストされるんですかね?そういう役作りなのか?音域の問題か?)

まずオープニングから。ゲネプロではテラスでもみあってたジョヴァンニとドンナアンナですが、地面で争っています(クヴィエーチェンに梯子を登らせないためだと思う。)この変更はそんなに違和感なく進みました。クヴィエーチェンもちゃんと争ってます。騎士長と戦うシーンも、ちょっと手加減しているけれど、そこまで間延びした演技じゃない。まず、ひとつめの心配はクリアのようです。

演出ですが、たしかに舞台装置はあまりよくはないかもしれない。
アパートのバルコニーみたいなのがたくさん並んでいる壁が立っていて、適宜、その壁が真ん中から分かれ、左右に開く仕組みです。なんというか、圧迫感があるし、床の面積があまりないし、奥行もないのがちょっと視覚的にはあまり面白くないかも。
しかし(これはMETのライブビューイングではよくあることですが)ライブビューイングのカメラはかなりアップで歌手を映すので、実際にオペラハウスの観客席からの舞台を見るのに比べ、舞台装置の粗が気にならない傾向が強いです。なので今回も、あまりいい舞台装置じゃないだろうけど映像で見る分には気にならない、というのが私の素直な感想です。

ちなみにレポレッロが替え玉になってエルヴィーラを騙すとき、ピザローニは身長差をごまかすため、主にフリットリの身体に抱きついて、彼女が立ってられないようにしてました。タックルするみたいに。もしふつうに並んで立ったら、(フリットリとクヴィエーチェンはほぼ同じくらいの身長なのに対し)ピサローニは頭一つ分、差があってバレバレなので、こういうところは工夫してますね。

 ジョヴァンニとレポレッロの関係について、このプロダクションはかなり力を入れている、というのが事前から語られていました。例えばアンナ・ボレーナのインターミッションでのインタビューでは



司会のルネ・フレミングに
「今回のプロダクションにはこれまでのドンジョヴァンニとは違う、新しいアプローチがありますね。あなたとマリウシュは演出のマイケル・グランデージとともにどのようにして役にアチーブしたの?」と聞かれたピザローニが
「まず、わたしたちはドンジョヴァンニとレポレッロの関係がこのオペラの鍵になる要素だという事実に同意しました。ですから、関係性を築き上げることに長い時間をかけました。特に私の役にとってそれは重要なことでした。・・・彼らはまるで結婚しているカップルのように、愛憎半ばする関係なのです。」
というふうに回答しています

ここまで言っておいてそれが舞台に反映していなかったらちょっと悲しいので、どのくらいそれが見えるのかに関心がありました。

まず(劇評でもかなり指摘されてましたが)レポレッロが召使いというにはあまりにもノーブル(笑)
まあ、それはピサローニの外見と、やや控えめな演技から、仕方のないことではあります。
私個人として、粗野なレポレッロよりこういうレポレッロのほうが表現としては好きです。
むしろそれをよく利用して、今回の2人は劇中ではドン・ジョヴァンニと召使いというより、ドン・ジョヴァンニとその見習いみたいのように見えました(実際、近い将来、確実にジョヴァンニをやるであろうピザローニ自身は、まぎれもなくジョヴァンニ見習いともいえます)

今回、ジョヴァンニが一番嬉しそうだったのは、またカタログの人数が増えるぞ!とレポレッロに言うシーン(ちなみにこのときのレポレッロもすっごく嬉しそう)
このふたりのカタログにかける意気込みを見ていると、女の人と関係を持つより何より、ふたりでカタログ作ってるのが楽しいんだろうな、と思わせる仕上がりです
(なので今回は女性キャラクターたちは置いてかれてる感が強いかもしれません)

 この解釈自体はそこまで新しいものとは思いませんが、こうして意図した、ジョヴァンニとレポレッロの関係に焦点をあてた演技を作り上げ、その演出をきちんと舞台上で表現できていることは評価に値すると思います。

そして、なにより特筆するべきは、今回のドン・ジョヴァンニは、キャスト全体の一体感がとても高く感じられたことだと思います。
今回の演出家のマイケル・グランデージは装置のディレクションでは、あまり高い評価を受けられそうもないけれど、歌手に対して舞台上でキャスト全体に一体感を持った演技をさせることに成功している点は、評価されるべきだと思います。

舞台上の一体感が良く、たくさん笑える、すごく面白いドン・ジョヴァンニでした。
私としては、見る価値は確実にあると思いますので 、もし迷っている方は、ぜひ、映画館へお運びください。

私ももう一回見たいけど、もう今週は行く時間がないからなぁ。

あ、そうそう、クヴィエーチェンのかつらはかっこわるくなかったです。
良い出来で安心しました。



Mozart: Don Giovanni

 (MET Live in HD, Oct. 29. 2011) 

New production
Don Giovanni
Mariusz Kwiecien
Leporello
Luca Pisaroni 
Donna Anna
Marina Rebeka
Donna Elvira
Barbara Frittoli
Don Ottavio
Ramón Vargas
Zerlina
Mojca Erdmann
Masetto
Joshua Bloom 
Commendatore
Conductor:
Director:
Set Designs:
Costumes:
Lighting:
Stefan Kocan 
Fabio Luisi 
Michael Grandage
Christopher Oram
Christopher Oram
Paule Constable

2011年11月7日月曜日

METのDon Giovanniに何が起こったか

ここしばらく、私の最大の関心事であったMETのDon Giovanniに何が起こったか、時系列にまとめてみました。
 (むしろなぜ、リアルタイムで書いておかなかった、とあのときの自分に言ってやりたいが、当時は全然思いつかなかった)

2011年、METのドン・ジョヴァンニは、マイケル・グランデージによる新演出、ポーランドの若手実力派バリトン、マリウシュ・クヴィエーチェンをタイトルロールに、バルバラ・フリットリ、ルカ・ピサローニ、ラモン・ヴァルガスなど実力ある歌手を取り揃え、Live in HDの第二作目として期待された作品でした。
10月13日(木)にプレミア、29(土)がLive in HD。
公演は10/13,17,22,25,29と11/3,7,11の8回(その後、ドンナ・アンナ以外の主要キャスト総入れ替えで2月3月に8回公演)予定。

そこになにが起こったのか。

以下、時間は日本時間から逆算しているので、おおよその推定時間です。
()内が日本時間。

では、いってみよう。

2011.10.10(月) 午後3時
(2011.10.11(火) 午前4時)
10日(月)に行われていた、ドン・ジョヴァンニのドレスリハーサル中、タイトルロールのマリウシュ・クヴィエーチェンが腰の痛みにより、病院に運ばれた、という第一報が入る。Daniel Wakin (New York Timesのクラシック担当)のtweetより。

2011.10.10(月) 午後6時、
(2011.10.11(火) 午前7時)
METにより、13(木)のプレミアのタイトルロールは負傷したクヴィエーチェンに代わり、ペーター・マッティによって歌われることが発表される。MetOperaのtweetより

2011.10.11(火) 午後0時
(2011.10.12(水) 午前1時) 
クヴィエーチェンは腰の手術を受けた。月曜日のリハーサルは途中で退出し、木曜日のプレミアはキャンセルした。Daniel Wakin (New York Timesのクラシック担当)のtweetより。
 
2011.10.12(水) 午後2時
(2011.10.13(木) 午前3時)、
METにより、クヴィエーチェンは月末までジョヴァンニを歌わない。17(月)と22(土)は ペーター・マッティが歌い、25(火)と29(土)(←Live in HDの日)はTBA(未定)と発表される。MetOperaのtweetより

2011.10.14(金) 午後2時
(2011.10.15(土) 午前3時)
METにより、25(火)と29(土)のLive in HDでは クヴィエーチェンがドン・ジョヴァンニのタイトルロールを歌うことが発表される。MetOperaのtweetより

2011.10.15(土) 午後2時、
(2011.10.16(日) 午前3時)
2011-2012シーズン Live in HD 第一作 アンナ・ボレーナのインターミッションにドン・ジョヴァンニのメンバーが出演。
クヴィエーチェンは「まず、現在は元気です。数日前に手術を受けましたが、ご覧のように現在は歩けるし、少しなら走ることもできる。まだ本番まで1週間あります。METのジャパンツアーのとき、腰、椎間板に痛みがありましたが、その時は仕事が出来る程度の痛みでした。しかしこのリハーサルの際、騎士団長との戦いの終わりで、彼を殺そうとしたら、自分の腰にとどめを刺してしまった。それで病院へ連れていかれ、ほんの少しだけど手術しました。」とコメント。
「でもすごく健康そうね。手術から4日しか経っていないなんて信じられないくらい」とルネ・フレミングのコメント。


つまり、主役のクヴィエーチェンがプレミア3日前のドレスリハーサルで腰の負傷で降板し、代役のマッティがプレミアと3回の公演のタイトルロールを務めたが、周囲の心配を受けながらも驚異的なスピードで回復したクヴィエーチェンが手術後、たった2週間で舞台に舞い戻ってきたのです。
もろもろ心配で、手に入る情報はなるべくリアルタイムで追いかけていましたが、新しい情報が出てくるたび、私の予想をはるかに凌駕していて、起きていることが信じられませんでした。

まず、第一報で「背中の痛み(back injured)」というのが背中を怪我したんじゃないか、と思った。
しかし、1幕はじめの騎士団長との戦いで怪我なんかする?クヴィエーチェンはまだ39才になったばかりなのに?というのにびっくり。しかも病状は、かなりあとまで発表されなかった。

さらに、病院に運ばれた、という発表の直後(3時間後くらい)に、ペーター・マッティが代役として発表されたこと。元々のカバーはドゥエイン・クロフト(クロフト兄弟のバリトンの方)で、10日のドレスリハーサルでは、1幕早々に抜けてしまったクヴィエーチェンのかわりに立派にジョヴァンニを演じた、と報じられたけれど、MET側としては、新制作のジョヴァンニだけに、もっと話題性と人気のある人にやって欲しかったのでしょう。それにしても、たまたま「セヴィリヤの理髪師」のフィガロ役のために、世界最高のジョヴァンニの一人であるマッティがNYにいたなんて奇跡だ。(マッティは今シーズンのミラノ スカラのオープニングでジョヴァンニをやることが決まっています)。しかもたった2日しか準備期間がないのに、新制作のプレミアなのに、引き受けたマッティもすごい。

しかし何より一番信じられなかったのが、月曜に負傷し、火曜に手術を受け、金曜には月末の復帰を発表したクヴィエーチェンの執念と根性。と同時に、必死で復帰しても、アクションがぬるい、などと批判される可能性も大いにあるわけで、注目度は否が応でも高くなる。

そしてこんな大波乱のなか、新演出のドン・ジョバンニはいったいどうなったのだろうか。
プレミアのマッティの評価は?クヴィエーチェンは本当に舞台に立てるのか?
そして演出の評価、その他の歌手陣の評価、指揮者の評価はどうなったのか?
(次の記事に続く)

2011年11月6日日曜日

デイヴィッド・マクヴィカー作品一覧

MET ライブ ビューイング「アンナ・ボレーナ」を見て、デイヴィッド・マクヴィカーならもうちょいいけたんちゃうか、と思い、そういえばわたしはマクヴィカー演出をいくつ見たんだろう、と疑問に思ったので演出家の略歴と主な演出作品まとめを作ろうと思う。

Selected productions

(以上、wikipediaより引用)

わたしが見たことあるのはトロヴァトーレ(2010-2011, MET)と魔笛(DVD)か。
(もっと見たような気がしてたけど)

 David McVicar
 1966年、グラスゴー生まれのスコットランドのオペラ・演劇 演出家。
  Royal Scottish Academy of Music and Drama で俳優の勉強をして1989年に卒業。


オペラ界のバッド・ボーイ、というのを読んでちょっと笑いましたが、
豪華だけどちょっとダークでひりひりする演出がわたしは好きです。

オペラ歌手に対して、容赦なく演劇的な演出を振るので、
役者心のある歌手だと舞台のイキイキ度が(一般的なオペラと比べ)桁違いです。
あと、(すげー細かいけど)血糊の使い方がうまいなー、という印象あり。
(とにかくリアル感の出し方がすごくうまい)

この人のドン・ジョバンニを見てみたかった。
主役バリトンがキャンセルしたとき 、代役に袖で歌わせながら
マクヴィカー本人が舞台でジョバンニを演じたことがあったそうなので、
それを見てみたい。

とか調べてたら、ROHの一番新しいアドリアーナ・ルクヴルールってマクヴィカーだったのか!
これ見てみたいんですよね。はやくDVDにならないかな。



あとファウストの評判がものすごい(祝DVD化!)ので、これは近々、見たいと思います。


今回、 Sardanapalus   さんのブログ 

2011年11月5日土曜日

MET ライブビューイング 2011-2012シーズン ついに開幕!

日本でもいよいよMETライブビューイング2011-2012シーズンの開幕ですね。


オープニングはアンナ・ボレーナ。なんとMET初演です。


アンナ・ネトレプコのアンナ・ボレーナも楽しみですが、個人的には
デイヴィッド・マクヴィカーの演出にとても興味があります。
新聞の劇評によれば、ちょっと暗すぎるとか言われてますけど・・・。
あとは、スティーブン・コステロ!彼を見るのは初めてなので期待しています。
(今回、標的を完全に2作目の「ドン・ジョバンニ」にしぼってきてるからといって、
アンナ・ボレーナについて書くことがひとつもない自分にびっくりだ)

まあ、そんな感じですね。明日見てきたらなにか書くかも。